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【JIPDEC】国内初、適格eシール(電子版の社印)の使用を開始

一般財団法人日本情報経済社会推進協会(会長:杉山秀二 以下、JIPDEC)は、EUの規則に基づく適格eシール(電子版の社印(ハンコ))の使用を開始しました。eシールとは、電子文書の発信元の組織を示す目的で行われる暗号化等の措置で、企業の社印(角印)の電子版に相当するものです(注)(注)総務省「組織が発行するデータの信頼性を確保する制度に関する検討会(第1回)」資料より抜粋。 参照:国内初、適格eシール(電子版の社印)の使用を開始しました
電子契約などのクラウドサービスの信頼性に関して厳格な基準に適合するサービスを認定する制度『JCANトラステッド・サービス登録』などを展開する一般財団法人日本情報経済社会推進協会(JIPDEC)は、EUのeIDASの規則に基づく「適格eシール」の仕様を開始したと発表した。 「eシール」とは、いわゆる角印(企業の社印)に相当するもので、電子文書の発信元の組織(企業など)を示す。 この「適格eシール」が付与されたJIPDECの電子文書は、間違いなくJIPDECによって作成されたということと、作成後に改ざんされていないということが、EUのeIDAS(イーアイダス)規則に基づき評価された適格電子証明書によって担保され、かつ、EU域内で法的効力を有するという。 この適格電子証明書は、電子認証サービスを展開するGMOグローバルサイン株式会社が日本企業として初めて提供したもの。 *JIPDEC、GMOグローバルサイン調べ。2020年5月14日現在の公開情報に基づく 具体的には、JIPDECのWebサイトに掲載されているプレスリリースのPDFファイルを開いた際に、GMOグローバルサインが提供した適格電子証明書によって、間違いなくJIPDECが公表したものであることを確認することが出来る。 テレワーク、在宅勤務が求められ、ビジネス文書等の電子化が加速しているが、一方で電子文書の真正性を確保・確認できることが極めて重要となってくる。 法人が作成した電子文書等に当該法人のしるし(EUで言うeシール)を付与することで、作成元の法人を判別することができ、その後の文書に変更・改ざんが加えられていないことを証明できるため、見積書や請求書などの帳票類、IR、プレスリリース等に使用されることで、電子文書の健全な普及が期待できるという。 さらに、2023年10月導入予定の改正消費税法に基づく適格請求書等保存方式、いわゆる消費税インボイス制度において、電子インボイスの交付や保存に際して、法人等が送信するデータの本人性や真正性を担保する措置がなされれば、事業者の事務負担を軽減し適切な会計処理ができることも予想されるとしている。 JIPDECでは、トラストサービス評価事業である「JCANトラステッド・サービス登録」の登録証への適格eシール付与を端緒に、政府機関、企業等と連携して、電子文書の真正性確保の意義を啓発していくとともに、日本版eシールの普及により信頼できるビジネス基盤の構築に努めていくとしている。

【トラストサービスの一類型である適格eシールとは】

EU域内で施行されているeIDAS規則は、電子署名やタイムスタンプ、eシール、eデリバリー、ウェブ認証等をトラストサービスと定義している。このうちeシールは、いわば法人が行う電子署名であり、その起源の証明と改ざん防止のために、法人に対する電子証明書を発行する業務がトラストサービスとして位置付けられている。eIDAS規則で定められている要件に適合すると評価されたトラストサービス事業者が発行する法人向けの電子証明書が付与されたeシールは、適格eシールと呼ばれ、EU域内での法的効力を有する。EU域内において評価されたGMOグローバルサインが提供するeシール向け電子証明書発行サービスは、既に適格トラストサービスとして、EUのトラストリストに登録され公開されている。

ここまでで、「適格eシールは、EU域内で法的効力を有する」というフレーズに違和感を覚えるかもしれない。 これは、端的に言うと、今現在(2020年5月)現在、このいわゆるeシールに関する規則など公的な枠組みが国内において存在していないという事である。 現在法的根拠とされている電子署名法に基づく、電子署名、電子証明書は個人に紐づくものであり、法人とは切り離されたモノであるため、電子署名された電子文書であっても、どの法人から発行されたものかを証明する根拠にはならないとされている。 もちろん「eシール」に関する議論は進められており(※)、前向きに検討されていると言えるだろう。 ※プラットフォームサービスに関する研究会 トラストサービス検討ワーキンググループ 最終取りまとめ 昨今の業務体制、環境の変化によって、「脱ハンコ」「捺印痛勤」などが叫ばれている中、電子契約やリモート署名への需要も急速に高まっている。 それに伴い、ビジネスシーンにおける新たな公的枠組みの早期成立も期待できるのではないだろうか。 今回のJIPDECの「適格eシール」使用開始も、追い風になると期待したい。
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