電子契約のあれこれ

電子契約だと収入印紙いらないってホント!?

電子契約と印紙税

印紙税、つまり収入印紙を貼って納税するアレだ。

製造関係だったり、システム開発などの仕事をしている人であれば馴染みのある必要経費である。
昨今よく耳にするようになった「電子契約を使えば、この収入印紙がいらない」という話もよく聞くのではないだろうか。
本当にそんなことがあるのだろうか!?
そうだったらいいな、でも大事な税収源を無くすようなことを許すのだろうか。。。
などと半信半疑の方もまだまだ多いのではないだろうか。
もし、収入印紙が無くせたらそれだけでも経済的メリットが大きい企業も多いだろう。
そのあたりの情報をまとめてみようと思う。


国税庁の見解

国税庁のホームページおいても電子契約の場合には課税対象にならないという見解が明記されている。

「現物の交付に替えて、PDFファイル等の電磁的記録に変換した媒体を電子メールを利用して送信した時は、課税文書を作成したことにはならないものと解して差し支えないか。」
という問いに対し、
「本注文請書は、申込みに対する応諾文書であり、契約の成立を証するために作成されるものである。しかしながら、注文請書の調製行為を行ったとしても、注文請書の現物の交付がなされない以上、たとえ注文請書を電磁的記録に変換した媒体を電子メールで送信したとしても、ファクシミリ通信により送信したものと同様に、課税文書を作成したことにはならないから、印紙税の課税原因は発生しないものと考える。」
と回答している。

参照:国税庁 文書回答事例 ・請負契約に係る注文請書を電磁的記録に変換して電子メールで送信した場合の印紙税の課税関係について別紙1-3



内閣総理大臣の見解

電子契約の場合は、この「文書」に当たらないため印紙税はかからないという見解を、時の内閣総理大臣小泉純一郎氏が答弁している。

「電磁的記録により作成されるいわゆるペーパーレス化が進展しつつあるが、文書課税である印紙税においては、電磁的記録により作成されたものについて課税されないこととなるのは御指摘のとおりである。」

参照:参議院 質問主意書 参議院議員櫻井充君提出印紙税に関する質問に対する答弁書



国税庁の回答としても、政府の見解としても、現段階(2019年1月時点)においては、“電磁的記録であれば現物を交付したとは言えず、課税文書を作成したことにはならないので印紙税の課税原因は発生しない”という法令解釈だということだ。

とりあえず、電磁的記録であれば収入印紙が必要ないことは間違いないようだ。
ただ、あくまで現段階においてはというところは注意しておかなければいけない。
今後、様々な事例がでてくるなかで解釈が変わることは大いにあり得る。あくまで可能性の話だが。

そうなると、この電磁的記録というものが、今までの紙での契約書などと同等の効力を持たせるためには何が必要かを考える必要が出てくる。
いわゆる「証拠力」というものだろう。

電子帳簿保存法や、タイムスタンプなど色々と難しそうな話が絡んできそうだ。
この辺に関しては、また随時アップしていきたいと思う。

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