ニュース

電子署名法第2条第1項の議論に終止符 政府が見解公表

サービス提供事業者が利用者の指示を受けてサービス提供事業者自身の署名鍵による電子署名を行う電子契約サービスに関して、電子署名法上の位置付けを明確にするため、Q&A【PDF】を作成いたしました。

総務省、法務省、経済産業省が連名で、電子契約サービスに関する見解を公表した。
昨今普及しているSaaS型の電子契約サービスは、電子契約サービスを提供する事業者が証人となって契約の真正性を証明するという形式のもので、その証拠力、法的効力について議論がなされてきた。
電子署名法第2条第1項第1号の「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。」の、「当該措置を行った者」の“本人性”についての定義があいまいだったためだ。
字面だけを取ると、「当該措置を行った者」というのが、契約の当事者ではなく、サービス提供している事業者という事になってしまうからである。
その点において、今回の「利用者の指示に基づきサービス提供事業者自身の署名鍵により暗号化等を行う電子契約サービスに関するQ&A」をリリースすることによって、はじめて政府見解を示し、これまでの電子署名法第2条第1項の証拠力に関する議論に終止符を打った形となった。

これまでは、電子署名法第2条第1項第1号の「当該情報が当該措置を行った者の作成に係るものであることを示すためのものであること。」を証明するためには電子証明書が必要だとされていた。
今回、主務官庁が連名で「必ずしも物理的に措置を自ら行う必要はなく、利用者の意思のみに基づいていると認められる場合であれば、「当該措置を行った者」はサービス提供事業者ではなく、その利用者であると評価し得るものと考えられる。」との解釈を示した。

法整備の遅れが懸念されていた電子契約業界においては、良い知らせと言えるだろう。
業界内の競争はさらに激しくなりそうだが、今回のリリース内で政府見解としてサービスの選択についても触れている。

電子契約サービスにおける利用者の本人確認の方法やなりすまし等の防御レベルなどは様々であることから、各サービスの利用に当たっては、当該サービスを利用して締結する契約等の性質や、利用者間で必要とする本人確認レベルに応じて、適切なサービスを選択することが適当と考えられる。

それぞれのサービスによって、セキュリティレベルや改ざん防止方法などは様々なので、リスクを把握したうえで、契約内容や用途によって必要なサービスを選択するべきだとの見解を示している。

先月には、内閣府、総務省、経済産業省が連名で「ハンコは契約の効力に影響なし」の見解を公表していた。
「ハンコは契約の効力に影響なし」政府が見解を公表

今回の政府見解としては、総務省、法務省、経済産業省という電子署名法における主務官庁が連名で発表したことには大きな意義があるようにも思う。
今回の発表によって、電子契約というものの普及がさらに進むことになりそうだ。

RELATED POST