我々が電子契約サービスを調べ始めたときからすぐにその存在は認識していた。
関連会社やグループ会社などに大手企業の名があるわけでもなく、大型の資金調達を行なっているいるわけでもなく、他の電子契約サービスとはどこか異質な雰囲気を感じていた。
さらに、ブロックチェーンを謳っている唯一(※)の電子契約サービスだったからだ。
※Paperless Gate調べ
中々調べても情報が無いため、今回も突撃取材することにした。
対応いただいたのはクラウドコントラクト株式会社 代表取締役社長の谷口氏。
気さくな雰囲気でこちらの質問に答えてくれた。
サービスの開始はいつからですか?
クラウドコントラクト株式会社 代表取締役社長 谷口氏(以下、クラウドコントラクト谷口氏):サービスとしては2018年1月からです。
サービス開始に先立って2017年の5月に会社を設立しました。
電子契約のサービスを始めようと思ったきっかけは何だったのでしょうか?
クラウドコントラクト谷口氏:電子契約のサービスを始めるに至った経緯としては、もともとブロックチェーンというものに興味があって色々調べたりしていたのですが、たまたま知り合いの社長様から、電子署名やタイムスタンプの事業の話を聞いたときに、“ブロックチェーン”と“契約”というものの相性が良いということに気付き、電子契約という事業を考えるようになりました。
契約書というものは改ざんされてはいけないものですし、ブロックチェーンを使うことによって、契約書の電子データの改ざんを防ぐような環境が作れたら事業運営に役立つサービスを提供できるのはないかと思ったのです。
それで、電子署名やタイムスタンプのプラットフォームを作れたらと思い、知り合いのシステム開発会社の社長に相談したところ、是非やろうとなったのが始まりです。
「ブロックチェーン」×「電子契約」
ブロックチェーンが先なのですね。
クラウドコントラクト谷口氏:そうなのです。
ブロックチェーンで新しい事業を何か出来ないかなと考えているときに、電子契約の事業に行き着きました。
他社のサービスでブロックチェーンを謳っているところはないと思うのですが。
クラウドコントラクト谷口氏:あまり聞かないですね。
ただ、大手のシステムではブロックチェーンの技術が採用されているので、今後は増えてくるのかもしれないですね。
問い合わせは増えてきていますか?
クラウドコントラクト谷口氏:問い合わせは増えています。
電子契約というもの自体の認知も少しずつ増えてきているからだと思うのですが、色々なところからお問い合わせいただくようになっています。
ただ、まだクラウドコントラクトは機能的に足りないところもあるので、今はまだそこの改修を行っている段階です。
継続的に機能追加を行っていきますが、スピード感を持ってやっていきたいですね。
他社サービスとの差別化はどのように意識されていますか?
クラウドコントラクト谷口氏:これまでも色々な企業様とお話させていただいてきたのですが、弊社のクラウドコントラクトは大企業よりも中小企業様で、業務委託契約を数多く締結するような業態が合うように思います。
例えば、立ち上げたばかりで、電子契約に興味はあるものの、導入にあまりコストを掛けられないというようなスタートアップの企業様にもお使いいただきやすいように料金設定も低めに設定しています。
一つの事例として、まだスタートアップのサービスなのですが、モデルやアイドルとの業務委託契約でお使いいただいている事例もあります。
言った、言わない、のようなことが起きやすい業態なのですが、クラウドコントラクトを使うことで、しっかりと契約形態を作っておけるという点において重宝いただいています。
あとは、イベントへの参加のために、国内・海外の各個人から取得する同意書でご利用いただいたこともあります。
これも一人ずつ紙でやっていたら膨大な時間と手間がかかるので、喜んでいただけました。
結婚相談所様でも加盟店様との契約書でお使いいただいていて、加盟店様側での印紙代も削減できるので大変ご満足いただいています。
ベンチャースピリッツ
基本的には自社開発ですか?
クラウドコントラクト谷口氏:開発に関しては、社内ではないのですが、提携している開発会社に依頼しています。
信頼できるパートナーで、企画段階から一緒に作っています。
今後は他社でもブロックチェーンを導入してくると思われますか。
クラウドコントラクト谷口氏:正直、セキュリティ面としては電子署名だけでも十分な気もします。
ただ、それ以上を求めようとすると必要になってくるのかもしれませんが、各社がどう判断するか今は何とも言い難いですね。
このようなシステム導入に関して、導入選定の担当者や、導入後に使う担当者というのは総務や経理の担当の方が多いので、ブロックチェーンだからという観点ではあまり判断はされないと思います。
選定の担当者が技術系の方の場合は、ブロックチェーンへの質問はかなり前のめりに来ますね。(笑)
法律面に関してはどのように対応していますか?
クラウドコントラクト谷口氏:もともとお付き合いのある弁護士事務所様に相談しながらやっています。
法律関係は大事な部分なので、しっかり専門家を付けて対応しています。
現状のクラウドコントラクトは、機能的にはとてもシンプルな構造になっています。
今ご利用いただいているお客様もだいたい20~30名くらいの規模感の企業様が多く、シンプルな構造が評価いただいているのだと思います。
もちろん今後は、そのお客様からの声を元にさらにヴァージョンアップさせていただきたいと思っています。
クラウドコントラクトとしては、今後も中小企業の方々にとって使い勝手の良い電子契約サービスを目指せればと思っております。
大手企業、大型調達に成功した猛者がひしめく電子契約サービスの中、独自の路線を見出しここから飛び立とうとする野心溢れるベンチャースピリッツを見せてくれた谷口社長。
今回の取材で他社とは一線を画す企業体質を見出すことが出来た。
“ブロックチェーンを使った電子契約サービス”という独自性をまず打って出たクラウドコントラクト。
大きな資本と開発力でマーケットを開拓する他社に対して、今後どのような戦術を繰り広げていくのか注目していきたい。
取材協力:
クラウドコントラクト株式会社
代表取締役社長
谷口 翔太 様